コンテナ輸送の仕組みと流れ、選ぶポイントをわかりやすく解説
2025年2月20日
- カテゴリ:国際輸送
MGL広報
コンテナ輸送の仕組みと流れ、選ぶポイントをわかりやすく解説
1950年代に始まったとされるコンテナ輸送は、今では物流になくてはならない輸送方法です。しかし、コンテナ輸送と一口にいっても、いくつかの種類があり、それぞれ異なる特長を持っています。そのため、輸送の仕組みや種類を理解することが大切です。
この記事では、コンテナ輸送の仕組みや種類、メリットのほか、注意点などをわかりやすく解説しています。コンテナ輸送サービスを選ぶ際のポイントにも触れていますので、ぜひ参考にしてください。
コンテナ輸送とは、国際的な規格のコンテナを使用した輸送方法のこと
コンテナ輸送とは、国際標準化機構(ISO)の規格にもとづいたサイズと形状のコンテナを、船舶・鉄道・トレーラーなどで輸送する物流システムのことです。国際的な規格のコンテナを使用することにより、積み下ろしや積み替えが容易になり、人手や時間の削減につながります。荷下ろししたコンテナは、そのまま鉄道やトラックに乗せ替えて輸送できる点が大きな特徴です。
コンテナ輸送の特長とメリット
コンテナは荷役作業の効率化を図るために生まれた輸送容器です。ここからはコンテナ輸送に使われるコンテナの種類と特長、活用した場合のメリットを紹介します。
コンテナの種類と特長
コンテナ輸送に使われるコンテナには、主に常温輸送用と冷蔵・冷凍輸送用、液体輸送用の3種類があります。それぞれの特長は下記のとおりです。
<主なコンテナの種類と特長>
- ドライコンテナ(常温輸送用):生活用品や日用雑貨、工業製品などの輸送に利用される
- リーファーコンテナ(冷蔵・冷凍輸送用):生鮮食品や冷凍食品、医薬品、精密機械などの輸送に利用される
- タンクコンテナ(液体輸送用):化学薬品やガス、原酒などの輸送に利用される
なお、ドライコンテナやリーファーコンテナは、陸上で一時保管場所もしくは倉庫として使用される場合もあります。
コンテナのサイズ
コンテナのサイズはISOによって規格化されており、一般的には20フィートまたは40フィートを使用します。ただし、リーファーコンテナのみ、断熱材などを取り付ける都合上、内寸や内容量がやや小さくなります。
具体的なコンテナのサイズは下記のとおりです。
■コンテナのサイズ
コンテナサイズ | 20フィート | 40フィート | 40フィートHigh Cube |
長さ | 内寸5,898mm、 外寸6,058mm |
内寸12,032m、 外寸12,192mm |
内寸12,032mm、 外寸12,192mm |
幅 | 内寸2,350mm、 外寸2,438mm |
内寸2,350mm、 外寸2,438mm |
内寸2,350mm、 外寸2,438mm |
高さ | 内寸2,390mm、 外寸2,591mm |
内寸2,390mm、 外寸2,591mm |
内寸2,695mm、 外寸2,896mm |
内容量 | 33.1立方メートル | 67.6立方メートル | 76.2立方メートル |
最大積荷重量 | 28,280kg | 26,740kg | 26,650kg/28,670kg |
※上記はコンテナメーカーや船会社によって多少異なります
■リーファーコンテナのサイズ
コンテナサイズ | 20フィート | 40フィートHigh Cube |
長さ | 内寸5,456mm、 外寸6,058mm |
内寸11,590mm、 外寸12,192mm |
幅 | 内寸2,288mm、 外寸2,438mm |
内寸2,284mm、 外寸2,438mm |
高さ | 内寸2,263mm、 外寸2,591mm |
内寸2,544mm、 外寸2,896mm |
内容量 | 28.2立方メートル | 67.5立方メートル |
最大積荷重量 | 27,570kg | 29,480kg |
※上記はコンテナメーカーや船会社によって多少異なります
■コンテナのサイズ(特殊コンテナ)
コンテナサイズ | オープントップコンテナ
20フィート |
オープントップコンテナ
40フィート |
フラットラックコンテナ
20フィート |
フラットラックコンテナ
40フィート |
長さ | 内寸5,940mm、 外寸6,058mm |
内寸12,040m、 外寸12,192mm |
内寸5,898mm、 外寸6,058mm |
内寸12,032mm、 外寸12,192mm |
幅 | 内寸2,150mm、 外寸2,438mm |
内寸2,380mm、 外寸2,438mm |
内寸2,352mm、 外寸2,438mm |
内寸2,352mm、 外寸2,438mm |
高さ | 内寸2,230mm、 外寸2,591mm |
内寸1,960mm、 外寸2,591mm |
内寸2,348mm、 外寸2,591mm |
内寸2,348mm、 外寸2,591mm |
内容量 | 28.5立方メートル | 56.2立方メートル | 32.6立方メートル | 66.4立方メートル |
最大積荷重量 | 28,130kg | 26,680kg | 20,900kg | 43,800kg |
※上記はコンテナメーカーや船会社によって多少異なります
コンテナ輸送のメリット
海上輸送によるコンテナ輸送を行う際は、航空輸送の場合と比較すると費用を抑えられるという大きなメリットがあります。輸送コストを大幅に削減できるため、大量輸送や長距離輸送において特に有効な手段といえるでしょう。また、コンテナに収納された貨物は、海上輸送や陸上輸送など、複数の輸送手段に対応できる柔軟性があります。天候の影響を受けにくく、貨物を安全かつ確実に輸送できる点も魅力です。
さらに、コンテナサイズが国際的に統一されているため、港湾施設やトラックとの連携がスムーズに行えます。この規格化によって積み下ろし作業が効率化され、物流全体の流れが向上する利点も見逃せません。
コンテナを輸出する方法と流れ
コンテナによる輸出には、大きく分けてコンテナ輸送(FCL:Full Container Load)と混載輸送(LCL:Less Than Container Load)があります。それぞれの輸出入の基本の流れは同じですが、コンテナを一荷主が独占するか複数の荷主がシェアするかによって違いがあります。
コンテナ輸送(FCL)の流れ
コンテナ輸送とは、荷主が自社のコンテナまたは一人で借り切って貨物を輸送する方法です。FCLの場合、下記の流れで貨物の輸送が進められます。
■コンテナ輸送(FCL)の流れ
1.輸出手続き
コンテナヤードで搬入が確認された後、輸出入関連情報処理システム(NACCS)を利用して輸出申告を行います。申告内容に問題がなければ、輸出許可が下りますが、場合によっては税関が抜き取り検査や全量検査を実施することもあります。
2.バンニング・出荷・内陸輸送
荷主の元に空のコンテナが届けられるので、荷主が貨物を梱包してバンニング(コンテナへの積み込み)します。積み込みが完了したら、コンテナをトラックで輸送し、出港地にあるコンテナヤード(CY)に搬入します。
※輸送業者が梱包から空バン(バンニング前の中身が入っていないコンテナ)の手配、倉庫受入れ、バンニングまで一手で行う場合も多く、MGLも対応可能です。
※品目数が少ないまたは定期的な貨物輸送で、輸送作業日程がタイトな場合等、荷主/現場によっては、梱包→バンニング→CY搬入の後に輸出手続きを行う場合もあります。
3.海上輸送
輸出許可を受けた貨物は本船に積み込まれ、出港します。輸入国に到着後、貨物は船から荷下ろしされ、輸入国のコンテナヤードへ搬入します。
4.現地輸入手続き
現地のレギュレーションに従い輸入申告を行います。申告内容に問題がなければ、輸入許可が下りますが、輸出手続き同様、場合によっては抜き取り検査や全量検査が行われることがあります。
5.現地側輸送
輸入許可を取得した貨物は、コンテナヤードから指定された場所までコンテナごと輸送されるか、デバンニング後にトラックに積み替えられて目的地まで輸送されます。
混載輸送(LCL)の流れ
混載輸送とは、複数の荷主がコンテナを共有して貨物を輸送することです。LCLによる輸送の基本の流れはFCLと変わりませんが、コンテナ・フレイト・ステーション(CFS:混載貨物専用倉庫)にてコンテナに積み込み作業をします。
■混載輸送(LCL)の流れ
1.輸出手続き
NACCSを利用した輸出申告を行います。申告内容に問題がなければ、輸出許可が下りますが、場合によっては税関が抜き取り検査や全量検査を実施することもあります。
2.貨物の出荷・内陸輸送・バンニング
荷主が貨物を梱包して出荷し、出港地にあるCFSに搬入します。その後、貨物をほかの荷主から集荷された貨物と一緒にバンニングします。
※LCLと同様、輸送業者が梱包、コンテナ手配、倉庫輸送を行う場合も多く、MGLも対応可能です。
3.海上輸送
輸出許可を受けた貨物は本船に積み込まれ、出港します。輸入国に到着後、貨物は船から荷下ろしされ、輸入国のCFSへ搬入します。
4.デバンニング・現地輸入手続き
CFSに搬入後に、デバンニング(コンテナからの荷下ろし)を行い、荷物を荷主ごとに仕分けた後、輸入申告を行います。
5.現地側輸送
輸入許可が下りた後、各荷主に仕分けられた貨物は、CFSから指定された場所までトラックに積み替えられて、目的地まで輸送されます。
コンテナ輸送に使われる船の種類とその違い
海上輸送に使われる船には、大きく分けて「在来船(Conventional Vessel)」と「コンテナ船(Container Vessel)」の2種類があります。それぞれの特長と主な違いを確認しておきましょう。
在来船
在来船とは、一般貨物船のことを指します。コンテナ輸送専用の船舶ではないため、さまざまな種類の貨物のうちの1種類としてコンテナの輸送も扱うという位置づけです。船体にクレーンを搭載しており、岸壁や艀(はしけ)から貨物を直接積むことが可能です。このため、コンテナには積めない重量貨物や長尺貨物などの特殊貨物の輸送にも対応しています。
在来船の荷役作業は貨物の形状や性質が多岐に渡るため、多くの人手を必要とします。また、悪天候の際には貨物の荷役作業ができない場合もあることから、必ずしも計画どおりに運航できるとは限りません。こうした事情により、遅延が発生する可能性もある点に注意が必要です。
コンテナ船
コンテナ船とは、コンテナ貨物専用船のことを指します。船体にクレーンは搭載されておらず、貨物の積み込みは陸上に設置されたガントリー・クレーンによって行われる点が在来船との違いです。
コンテナ船には、海上輸送の中継拠点となるハブ港を行き来する大型船と、ハブ港と地方港湾との間を行き来する小型船の2種類があります。これらのコンテナ船が定期運航することにより、あらかじめ決められた運航スケジュールに則って貨物を輸送できる点が大きなメリットです。
また、輸送プロセスが標準化されており、高い作業効率を維持できる点も大きな強みといえます。貨物がコンテナに収められているため、天候の影響を受けにくいこともメリットの1つです。
コンテナ輸送を利用する際の注意点
コンテナ輸送を利用する際には、価格やサービス、スケジュールなど、いくつかの注意点があります。下記で紹介する5点は、コンテナ輸送の利用前後に必ず確認しておきましょう。
<コンテナ輸送を利用する際の注意点>
- 価格やサービス内容を確認する
- 航空輸送よりも日数がかかる
- 湿気対策が必要になる
- 動静を確認する
- ダメージや汚れを確認する
価格やサービス内容を確認する
コンテナ輸送は自由運賃と表定運賃があり、自由運賃の場合は価格やサービス内容が一律ではない点に注意しましょう。実際にどれだけの料金がかかるのか、サービスはどの範囲で受けられるのかを確認するには、見積もりを依頼する必要があります。
航空輸送よりも日数がかかる
コンテナ輸送は海上輸送となるため、航空輸送と比べた場合、日数を要する点に注意しましょう。一方で、航空輸送よりも費用を抑えられることや、大量の貨物を一度に運べることは海上輸送の大きなメリットです。輸送にかかる日数を重視するか、費用や輸送量を優先するかによって、航空輸送とコンテナ輸送のどちらを選択するべきか判断する必要があります。
湿気対策が必要になる
コンテナ輸送では貨物がコンテナで保護されているとはいえ、湿気対策が欠かせません。コンテナは海上で気温や湿度の変化にさらされるため、コンテナ内に湿気がこもるのは避けられないからです。除湿シートをコンテナ内に敷いたり、布団類を貨物の間に詰めたりするなど、湿気を吸収するための対策を講じておきましょう。特に、荷積み作業を高温多湿の環境下で行う場合には、防湿対策が必須となります。
船の運行状況(動静)を確認する
コンテナ輸送を利用する際には、出港後も常に船の運行状況を示す動静確認が大切です。コンテナの積み替え作業に予想以上の時間を要したり、天候や事故、港湾での予期せぬトラブルなどによって遅延が生じたりすることもあります。船舶会社のWebサイトにて運航情報や遅延情報、船舶位置情報などを確認し、動静を常に注視しましょう。万が一、遅延が発生した場合も、早期に対応できるよう備えておくことが大切です。
ダメージや汚れを確認する
貨物が到着した際には、ダメージや汚れの状況を慎重に確認する必要があります。海上輸送中の荷崩れによって貨物が破損したり、湿気によって状態が悪くなっていたりすることも考えられるでしょう。また、こうしたリスクを見越して、貨物の種類・重量などに適した梱包や、積み込む際の重量調整を丁寧に行うことが求められます。
コンテナ輸送なら三井物産グローバルロジスティクス
コンテナ輸送は国際基準に則って運航されているため、輸出入貨物を安全に運ぶことができます。コンテナ輸送の仕組みや特徴を理解した上で、メリット面を活かして利用していくことが重要です。
三井物産グローバルロジスティクス(MGL)は、全世界35ヵ国150都市の自社拠点及びパートナーを中心にサービスを展開しています。グローバルネットワークを駆使し、お客様にとって最適なグローバルSCMのソリューションを提案するとともに、運用受託も含めたサポートの提案が可能です。
三井物産グループの物量をまとめて船社から取得する「集約運賃」による強力な運賃仕入れ力と、長年にわたり築いてきた信頼のあるパートナーとのネットワークを通じ、圧倒的に競争力のある運賃をご提供できます。
三井物産グループという、商社系物流会社の優位性を活かし、各国におけるレギュレーション、活発化する経済協定等の最新情報を収集するとともに、輸出入に必要とされる許認可や減免税適用可否についても事前調査を実施しています。コンテナ輸送サービスの活用を検討されている事業者様は、ぜひ三井物産グローバルロジスティクスのお問い合わせフォームよりご相談ください。
よくある質問ーMGLが答えますー
Q.コンテナ輸送のメリットは何ですか?
A.コンテナ輸送は、「複数の輸送手段に対応できる柔軟性」「港湾施設やトラックとの連携がスムーズ」「積み下ろし作業が効率化され、物流全体の流れが向上する」などのメリットがあります。また、海上輸送によるコンテナ輸送は、航空輸送と比較すると費用を抑えられるという大きなメリットがあります。
詳しくは「コンテナ輸送の特長とメリット」をご確認ください。
Q. コンテナ輸送の注意点はありますか?
A.コンテナ輸送を利用する際の注意点として、「価格やサービス内容を確認する」「航空輸送よりも日数がかかる」「湿気対策が必要になる」「動静を確認する」「ダメージや汚れを確認する」などがあります。
詳しくは「コンテナ輸送を利用する際の注意点」をご確認ください。
Q.コンテナを輸出する際は、どのような流れになりますか?
A.コンテナによる輸出には、大きく分けてコンテナ輸送(FCL:Full Container Load)と混載輸送(LCL:Less Than Container Load)があります。FCLの流れは、一般的に「1.輸出手続き」「2.バンニング・出荷・内陸輸送」「3.海上輸送」「4.現地輸入手続き」「5.現地側輸送」となります。
一方でLCLは、「1.輸出手続き」「2.貨物の出荷・内陸輸送・バンニング」「3.海上輸送」「4.デバンニング・現地輸入手続き」「5.現地側輸送」が一般的な流れです。
詳しくは「コンテナを輸出する方法と流れ」をご確認ください。
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