サーチャージとは?海上輸送や航空輸送における仕組みを解説

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サーチャージとは?海上輸送や航空輸送における仕組みを解説

国際輸送の費用には、基本運賃のほかに「サーチャージ」と呼ばれる料金が加算されることがあります。サーチャージは、海上輸送と航空輸送で仕組みや種類が異なり、時期によって金額が大きく変動します。そのため、サーチャージの内容をきちんと理解していないと、見積金額の妥当性やコスト増減の理由を理解しづらくなるため注意が必要です。

この記事では、海上輸送と航空輸送に分けて、サーチャージの仕組みや種類を詳しく解説します。

サーチャージとは、基本運賃に上乗せされる割増料金のこと

燃油サーチャージに代表される「サーチャージ」とは、国際輸送において基本運賃に加えて請求される割増料金のことです。燃料価格の高騰や為替変動など、船会社や航空会社側がコントロールできない外的要因によるコストの増加を運賃に補填する目的で導入されています。

<サーチャージの主な変動要因>

・原油価格の変動:上昇により燃料費などが高騰

・為替の変動:円安が進むとドル建てコストが上昇

・繁忙期:クリスマス・旧正月などによる輸送需要の増加

・世界情勢:戦争・災害・パンデミックなどによる航路変更や安全対策

サーチャージの大きな特徴は、状況に応じて金額が見直される変動性にあります。経済状況や国際情勢の変化に合わせて料金が調整されるため、国際輸送コストの算出を複雑にする要因の1つとなっています。

そのため、輸送計画や見積りを確認する際は、最新の情報を把握した上で、サーチャージを確認することが重要です。

なおサーチャージは旅客輸送と貨物輸送のどちらにも採用されていますが、それぞれ仕組みや種類は異なります。今回は国際貨物輸送におけるサーチャージについて紹介します。

■サーチャージ推移のイメージ

海上輸送における基本運賃とサーチャージ

国際輸送の費用は、大きく分けて「基本運賃(BASE RATE)」と「諸掛(しょがかり)」の2つに分類されます。基本運賃は、貨物を出発地から到着地まで輸送するための基本的な料金です。一方、諸掛は、基本運賃に加えて発生するさまざまな追加料金の総称であり、その中にサーチャージも含まれます。

なお、海上輸送は貨物の輸送形態によって運賃の考え方や料金が異なる点に注意が必要です。

■海上輸送の料金の違い

輸送形態 内容 一般的な料金形態
FCL(Full Container Load) 1人の荷主がコンテナ1本を専用で使用する輸送方式 コンテナ1本あたりの運賃+諸掛(各種サーチャージ・ローカルチャージなど)
LCL(Less than Container Load) 複数の荷主がコンテナ1本を共有し、貨物を運ぶ混載輸送方式 貨物の重量または容積に応じたレート(レベニュートン単価)+諸掛(各種サーチャージ・ローカルチャージなど)

基本運賃

海上輸送の基本運賃は、下記の2種類に分類されます。貨物の種類によって異なるため、見積確認の際にはどの方式が採用されているのかを確認しましょう。

■海上輸送の基本運賃

方式 日本語表記 内容
FAK(Freight All Kinds) 品目無差別運賃 貨物の品目にかかわらず、コンテナ1個あたりで設定される運賃。ボックスレートとも呼ばれる
Commodity Rate 品目別運賃 貨物の特性(容積、重量、従価など)に応じて設定される運賃。主に鋼板や宝石、危険物など特殊貨物に対して採用される

サーチャージ

サーチャージは、航路や船会社、輸送時期によって内容や金額が異なり、運賃総額に大きな影響を与えます。多くの場合、コンテナ単位または重量・容積単位で計算されます。

代表的なサーチャージは下記のとおりです。

サーチャージ名 日本語表記 内容
BAF(Bunker Adjustment Factor) 燃料油割増料金 船舶用燃料(バンカー油)の価格変動に対応するための費用
CAF(Currency Adjustment Factor) 通貨変動割増料金 為替レートの変動に対応するための費用
PSS(Peak Season Surcharge) 繁忙期割増料金 クリスマスや旧正月などの繁忙期に課される費用
WRS(War Risk Surcharge) 戦争危険割増料金 中東や紅海など戦争・政情不安地域での輸送に伴う費用
PCS(Port Congestion Surcharge) 港湾混雑割増料金 港湾の混雑による遅延リスクへの対策費用
LSS(Low Sulphur Fuel Surcharge) 低硫黄燃料追加料金 船舶用燃料が排出する有害な硫黄による環境汚染に配慮した燃料使用に伴う費用
EBS(Emergency Bunker Surcharge) 緊急燃料割増料金 急激な燃料高騰時に対応するための費用
CIC(Container Imbalance charge) コンテナ調整割増料金 日中航路などで、輸出入時にコンテナ数のバランスが偏ることで発生する、空コンテナ転送に伴う調整費用
CMF(Container Management Fee) コンテナ管理割増料金 コンテナの管理や点検に関する費用

航空輸送の基本運賃とサーチャージ

航空輸送においても、運賃は「基本運賃」と「諸掛(各種サーチャージ)」で構成されます。航空輸送は、重量や輸送距離の影響を受けやすく、条件によってはサーチャージが運賃総額に占める割合が大きくなる点が特徴です。

基本運賃

航空輸送の基本運賃は、「出発地と目的地間の距離」に加え、実重量と容積重量のいずれか大きい方を運賃重量として採用するのが特徴です。容積重量の計算式はIATA(国際航空運送協会)が定めた「(長さ×幅×高さ)÷寸法係数(6,000)」で換算するのが一般的で、単位はcmで計算されます。

なお、航空会社によって運賃は異なります。

サーチャージ

航空輸送では、燃料費や保安対策費を補填するため、基本運賃とは別に下記のサーチャージが設定されます。

■航空輸送の主なサーチャージ

サーチャージ名 日本語表記 内容
FSC(Fuel Surcharge) 燃油割増料金(燃油サーチャージ) 燃油価格の変動に対応するための費用
SSC(Security Surcharge) 保安割増料金 空港での保安対策やテロ防止措置にかかる費用

中でも燃油サーチャージは変動幅が大きく、燃料価格の高騰時には基本運賃と同程度、あるいはそれ以上の金額になるケースも見られます。特に長距離輸送や重量物輸送では、燃油サーチャージが運賃全体を押し上げる要因ともなっています。

海上・航空輸送の基本運賃とサーチャージ以外の主な費用

国際輸送では基本運賃やサーチャージ以外にもさまざまな費用を合算して「輸送運賃(Freight、Air freight)」となります。見積時には金額だけでなく、どの工程でどの費用が発生しているのかを項目ごとに確認することが重要です。

基本運賃やサーチャージ以外に発生する主な費用

費用名 日本語表記 内容
Insurance Premium 貨物保険料 貨物保険料の加入費用
CHC(Container Handling Charge) コンテナ取扱料 コンテナの積み降ろし・移動などにかかる費用。THC(Terminal Handling Charge)とも呼ばれる
DDC(Destination Delivery Charge) 仕向地コンテナ取扱料 主にアメリカの仕向港でコンテナをコンテナヤード内の所定位置まで運ぶための費用
CFS Charge(Container Freight Station Charge) 混載貨物取扱料 混載貨物(LCL)をコンテナへバンニング(積み込み)・デバンニング(荷下ろし)する作業や、倉庫での一時保管・仕分けにかかる費用
B/L(Bill of Lading) Fee 船荷証券発行手数料 海上輸送でB/L(船荷証券)の発行にかかる手数料
D/O Fee(Delivery Order Fee) 荷渡指図書発行料 貨物引き渡しの際に船会社が発行する荷渡指図書(D/O)の発行手数料
DOC(Documentation Fee) 書類作成料 貿易・輸送関連書類の作成費用
CCF(Customs Clearance Fee) 通関手数料 輸出入の際の通関手続きにかかる費用
Carry out 搬出料 倉庫から貨物を搬出する際の費用
AFR(Advance Filing Rules)Fee 出港前報告制度手数料 日本へ入国予定のコンテナ貨物について、出港前報告制度(AFR)に対応するためにかかる費用
Airport Charge 空港利用料 空港施設の利用にかかる費用

デバンニング・バンニングについて、詳しくは下記をご確認ください。

デバンニング・バンニングとは?コンテナ作業の手順と注意点を解説

B/Lについて、詳しくは下記をご確認ください。

B/L(船荷証券)とは?貿易での役割や記載内容・発行からの流れを解説

サーチャージの過去と現在の推移

サーチャージは、燃料価格の高騰や為替の変動、繁忙期による需要増加など、国際物流を取り巻く環境の変化によって変動します。その代表的な例が、1970年代のオイルショックです。船舶用燃料(バンカー)の価格が急騰したことを受け、海運業界では燃料価格の変動分を調整するためのBAFが導入されました。

その後、2000年代に入って原油価格の高騰が続いたことを背景に、燃油サーチャージが航空業界などにも広く導入され、国際輸送における一般的な制度として定着します。

 

近年では2020年以降のコロナ禍からの経済回復に伴う需要増加や、ロシア・ウクライナ情勢によるエネルギー供給不安などが重なり、燃油サーチャージは歴史的に見ても高い水準に達する局面が続きました。

ただし、2024年後半以降は、一部の航路や事業者において燃油サーチャージがピーク時と比べてやや落ち着き、段階的な引き下げが行われる動きも見られます。今後も国際情勢やエネルギー市場の動向次第では、再び変動する可能性があるため、常に最新情報を確認する必要があります。

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■MGLの国際複合一貫輸送をお申込み後の流れ

よくある質問ーMGLが答えますー

Q. サーチャージとは何ですか?

A. サーチャージとは、国際輸送において基本運賃に加えて請求される割増料金のことです。船会社や航空会社が、燃料価格の高騰や為替変動など、事業者側でコントロールできない外的要因によるコスト増を運賃に補填する目的で導入されています。

詳しくは「サーチャージとは、基本運賃に上乗せされる割増料金のこと」をご確認ください。

Q. 海上輸送のサーチャージの種類は?

A. 海上輸送のサーチャージの代表的な種類は、燃料価格の変動を反映する「BAF(燃料油割増料金)」、為替変動に対応する「CAF(通貨変動割増料金)」、繁忙期に発生する「PSS(繁忙期割増料金)」などが挙げられます。このほか、港湾混雑に対応する「PCS(港湾混雑割増料金)」や、政情不安地域での輸送に伴う「WRS(戦争危険割増料金)」などもあり、航路や時期、船会社によって内容や金額は異なります。

詳しくは「海上輸送における基本運賃とサーチャージ」をご確認ください。

Q. 航空輸送のサーチャージの種類は?

A. 航空輸送のサーチャージには、燃料価格の変動に対応する「FSC(燃油割増料金)」と、空港での保安強化やテロ対策にかかる「SSC(保安割増料金)」があります。サーチャージは多くの場合、貨物の重量を基準に加算されます。特に長距離輸送や重量物では、燃油サーチャージの影響が大きくなるため、見積時には基本運賃と合わせて内訳を確認することが重要です。

詳しくは「航空輸送の基本運賃とサーチャージ」をご確認ください。

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