デバンニング・バンニングとは?コンテナ作業の手順と注意点を解説

MGL広報

国際物流で欠かせないバンニングとデバンニングは、単純に見えても、貨物の形状や重量、運搬ルートに応じた的確な判断が求められる作業です。作業を誤れば、荷崩れや貨物の破損、納期遅延といったトラブルにつながるリスクもあるため、物流工程の中でも重要な役割を担っています。

この記事では、デバンニング・バンニングの作業手順や注意点、課題などをわかりやすく解説します。

バンニングとは貨物の積み込み作業のこと

バンニングとは、輸出や出荷の際に貨物をコンテナに積み込む作業のことです。物流現場では「バン詰め」とも呼ばれ、物流の効率を左右する重要な工程のひとつです。

コンテナ輸送では、内容物の量にかかわらず費用が一定であることも多いため、コンテナ内の空間を無駄なく使うことがコスト最適化に直結します。異なるサイズの貨物を隙間なく積み込み、できるだけ多くの荷物を一度に輸送する工夫が求められます。

■バンニングの様子

コンテナ輸送について、詳しくは下記をご確認ください。

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保税倉庫について、詳しくは下記をご確認ください。

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デバンニングとは貨物の荷下ろし作業のこと

デバンニングとは、輸入された貨物をコンテナから取り出す作業のことです。現場では「バン出し」とも呼ばれ、輸入物流の出発点となる重要な工程です。

デバンニングでは、コンテナの扉を開けた際に荷物が崩れ落ちる危険もあるため、作業員の安全を確保した上で慎重に進める必要があります。また、貨物に破損や異常がないかも丁寧に確認します。

通関について、詳しくは下記をご確認ください。

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バンニングの流れ

バンニングプランの作成から積み込み、最終的な封印まで、いくつもの工程を経て行われます。ここでは、代表的なバンニング作業の流れを紹介します。

<バンニングの手順>

1 バンニングプランの作成

2 コンテナ内の確認

3 コンテナへの貨物の積み込み

4 ラッシング(根留め:ねどめ)

5 コンテナの封印

1 バンニングプランの作成

バンニングの最初のステップは、バンニングプランの作成です。貨物の種類、形状、重量、梱包方法などをもとに、コンテナの種類やサイズを決め、輸送時の安全性と積載効率を両立できるように積み方を設計します。

バンニングプランを作成する際は、主に下記のポイントを考慮するといいでしょう。

<バンニングプランを作成する際のポイント>

・重い貨物は下に、軽い貨物は上に配置して安定性を確保する

・船や航空機での輸送中の揺れを考慮し、荷崩れしにくい積み方にする

・荷受け側がスムーズに荷下ろしできるよう、積み順を工夫する

・貨物の特性に応じて、適したサイズ・機能を持つコンテナを選定する(温度・湿度管理など)

なお、輸送形態によっても、バンニングプランの内容は変わります。複数の荷主の貨物をまとめて送る「LCL(Less Container Load)」では、CFS(Container Freight Station)という専用倉庫でのバンニングが一般的です。一方、1つのコンテナを1社で利用する「FCL(Full Container Load)」では、事前に貨物の内容や積載順を詳細に決めておく必要があります。

バンニングプランが決まったら、空のコンテナを作業現場まで運ぶドレー業者と日程の調整をします。

LCLやFCLについて、詳しくは下記をご確認ください。

コンテナ輸送の仕組みと流れ、選ぶポイントをわかりやすく解説

2 コンテナ内の確認

空のコンテナが作業現場に到着したら、内部にダメージや汚れ、異臭、雨漏りなどがないかを確認します。問題が見つかった場合は、可能であれば別のコンテナに交換を依頼します。やむをえず使用する場合は問題箇所の写真を撮り、後のトラブルを避けるため事前に船会社などへ報告するのが一般的です。

3 コンテナへの貨物の積み込み

コンテナ内の確認が終わったら、必要に応じてスロープやドックレベラーを設置し、バンニングプランに沿って積み込みをします。手作業またはフォークリフトを使って貨物を配置し、隙間には緩衝材を詰めて輸送中の貨物へのダメージを防ぎます。

4 ラッシング(根留め:ねどめ)

積み込みが完了したら、荷崩れを防ぐために貨物を固定するラッシング(根留め)を行います。貨物を木材やロープなどでしっかり固定するとともに、貨物とコンテナドアの間に20~30cmほどのスペースを空けるのが一般的です。その隙間にカットした木の板を打ち込むと、船や飛行機が大きく揺れても貨物が崩れにくくなります。

5 コンテナの封印

最後にコンテナのドアを閉め、シリアルナンバー入りのシールを貼って封印します。封印は輸送中に開封されていないことを証明する重要な管理手段です。

バンニングの作業時間は貨物の量によって異なりますが、40フィートコンテナの場合、おおよそ1時間が目安です。

デバンニング作業の流れ

デバンニングは、限られた時間内に確実に終える必要がある作業です。とくにコンテナを運ぶドライバーの待機時間には制限があり、到着から原則2時間以内に作業を完了させることが求められています。

時間を超過した場合、遅延金が発生することもあるため、事前の段取りや人員の確保が欠かせません。

<デバンニング作業の手順>

1 コンテナの到着

2 コンテナと貨物の確認

3 貨物の取り出し

4 コンテナの清掃

1 コンテナの到着

トラックでコンテナを所定の位置に配置します。必要に応じてスロープやドックレベラーを設置し、荷下ろし作業の準備を整えます。

2 コンテナと貨物の確認

コンテナが配置されたら、ドアの封印(シール)のシリアルナンバーを確認し、事前に通関書類等で通知されている番号と一致していることを確かめます。番号に相違がないことを確認した上で、扉を開放しますが、内部の貨物が荷崩れを起こしている可能性もあるため、注意が必要です。

扉を開けた後は、内部の貨物に破損や異常がないかを目視で確認します。

3 貨物の取り出し

コンテナ内の貨物のチェックを終えたら、手作業またはフォークリフトを使って貨物を取り出します。手作業の場合は、パレットローラーなどの補助機材を使うと効率化できます。

■デバンニングの様子

4 コンテナの清掃

すべての貨物を取り出したらコンテナ内を軽く清掃し、残荷がないかを確認して作業完了です。

作業時間はコンテナが20フィートで1時間、40フィートで2時間が一般的な目安となります。

バンニング・デバンニングの注意点

バンニングやデバンニングは、大量の貨物を素早く運ばなければならず、作業員の安全性や作業精度が問われます。ちょっとした油断が、大きな事故や損害につながることもあるため、下記で紹介するポイントに注意しましょう。

貨物の落下や破損に気をつける

バンニングやデバンニングの作業中は、貨物が落下したり、破損したりするリスクがあります。特に輸出時のバンニングでは、輸送時の揺れに備えて、貨物をしっかりと固定しなければなりません。緩衝材や木材を使って、丁寧に固定することが大切です。

万が一、作業中に破損が発生した場合は、作業を一時中断し、状況を確認した上で関係者に連絡します。

なお、バンニングやデバンニングの作業中の事故による損害は、貨物保険・輸送保険の補償対象に含まれるケースもあるので、補償内容を確認しておきましょう。

作業現場の安全性に配慮する

バンニングやデバンニングの作業はコンテナ内で行うため、作業環境の整備と安全対策が欠かせません。コンテナ内は狭く、暗く、滑りやすいため、荷崩れや熱中症など、さまざまなリスクが潜んでいます。注意が必要な事故と対策の例は、下記のとおりです。

■バンニング・デバンニング作業中に起こる事故と安全対策の例

事故例 安全対策
コンテナ内が40~50℃まで上昇し、熱中症のリスクが高まる ・作業前にコンテナ内を冷却するなどの熱中症対策をする

・こまめな水分補給と定期的な休憩を取る

扉を開けた瞬間に荷物が崩れ落ちて下敷きになる ・荷物の落下に備え、扉は複数人で慎重に開ける

・保護具(ヘルメット・安全靴・手袋など)を着用する

フォークリフト作業中に死角から作業員が接近し、接触事故が起きる ・作業中は必ず声を掛け合う

・作業は単独で行わず、チームで連携する

コンテナ内の床が滑りやすく、段差もあるため転倒しやすい ・滑りにくい靴を着用する

・走らず、安定した姿勢で作業する

バンニングやデバンニングは、限られた時間内に終える必要があるため、作業を効率的に行う必要があります。しかし、焦って進めると事故の引き金になるため、現場ごとのリスクをあらかじめ共有し、チーム全体で安全意識を高めておくことが大切です。

バンニング・デバンニングの課題

バンニングやデバンニングは、国際物流の根幹を担う重要な作業ですが、現場では課題がいくつかあります。ここでは代表的な4つの課題を紹介します。

<バンニング・デバンニングの課題>

・作業員の人手不足

・コンテナや貨物の破損トラブル

・バンニング作業時間の長期化

・デバンニング時間超過による遅延金の発生

作業員の人手不足

バンニングやデバンニングの現場では、慢性的な人手不足が続いています。重労働な上、夏は高温、冬は寒冷な環境下での対応が求められるため、作業員の負担が大きくなります。こうした労働条件から定着率が上がらず、人手不足が続いているのが実情です。

人手が足りなければ、作業時間が延びたり、ミスが発生したりするおそれがあります。そのため、企業側には省人化に向けた機械の導入や、作業手順・環境の見直しなど、持続可能な対策が求められています。

コンテナや貨物の破損トラブル

作業スピードを優先しすぎると、フォークリフトの接触や荷崩れによる破損などのトラブルが発生しやすくなります。これにより、貨物やコンテナの損傷、修理費用の発生、さらには取引先からの信用低下につながる可能性もあります。

時間に余裕がない状況でも、安全確認と丁寧な固定作業を徹底する体制づくりが重要です。

バンニング作業時間の長期化

バンニングは貨物を積むだけでなく、バンニングプランの作成や積載内容の記録、発送報告といった事務作業も伴うため、どうしても作業時間が長くなりがちです。さらに、チェックリストを活用した確認作業や、特殊な貨物の取り扱いが必要な場合は、工程が増えて時間と労力がかかります。

時間的ロスを減らすためにも、作業マニュアルの標準化や事務作業のデジタル化による効率化をするといいでしょう。

デバンニング時間超過による遅延金の発生

デバンニングは時間厳守が求められる作業です。一般的に、コンテナ到着から2時間以内に作業を完了することが求められており、それを超えると遅延金が発生する可能性があります。さらに、破損やトラブルがあった場合は、修理費用や損害賠償が追加で発生し、物流コストが予想以上にかかることもあります。

作業員の人数や必要な資材の確保、スムーズな作業のためのスペースづくりなど、事前準備を万全にすることが重要です。

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バンニングやデバンニングには、人手不足、作業時間の長期化、貨物の破損トラブルなど、多くの課題があります。こうした問題を抱えているなら、外部業者への委託を検討するのも選択肢のひとつです。

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■MGLの国際複合一貫輸送をお申込み後の流れ

よくある質問ーMGLが答えますー

Q. バンニングとは何ですか?

A. バンニングとは、輸出や出荷の際に、貨物をコンテナに積み込む作業のことです。物流現場では「バン詰め」とも呼ばれています。バンニングでは異なるサイズの貨物を隙間なく効率的に積み込み、一度に多くの貨物を輸送することが求められます。

詳しくは「バンニングとは貨物の積み込み作業のこと」をご確認ください。

Q. デバンニングとは何ですか?

A. デバンニングとは、輸入された貨物をコンテナから取り出す作業のことです。デバンニングでは、コンテナの扉を開けた際に荷物が崩れ落ちる危険もあるため、作業者は安全を確保した上で作業を進める必要があります。また、貨物に破損がないかも丁寧にチェックしなければなりません。

詳しくは「デバンニングとは貨物の荷下ろし作業のこと」をご確認ください。

Q. バンニング、デバンニングの課題はありますか?

A. バンニング・デバンニングの課題は、「作業員の人手不足」「コンテナや貨物の破損トラブル」「バンニング作業時間の長期化」「デバンニング時間超過による遅延金の発生」などです。こうした問題を抱えているなら、外部業者への委託を検討するのも選択肢のひとつです。

詳しくは「バンニング・デバンニングの課題」をご確認ください。

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