乙仲（海貨業者）とは？フォワーダー・通関業者との違いや業務内容を解説

2025年12月23日

MGL広報

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1 乙仲（海貨業者）とは？フォワーダー・通関業者との違いや業務内容を解説

乙仲（海貨業者）とは？フォワーダー・通関業者との違いや業務内容を解説

乙仲（おつなか）は、現在の法律上では正式な用語ではないものの、物流や貿易の現場では今でも広く使われています。しかし、「フォワーダー」や「通関業者」など、似たような業者も存在するため、それぞれの役割の違いがわかりにくいと感じる人も多いでしょう。どの業者に何を依頼すべきかを把握しておくことは、輸出入業務を円滑に進める上でとても重要です。

この記事では、乙仲の業務内容、フォワーダー・通関業者との違いのほか、業者選定のポイントについてわかりやすく解説します。

乙仲とは、海運貨物取扱業者を指す呼称

乙仲とは、港湾エリアで海上輸送に関する各種手続きや手配などを行う海運貨物取扱業者（海貨業者）のことを指します。

「乙仲」という呼称は、戦前の海運組合法における「乙種仲立業」に由来します。当時は法的な分類にもとづいた正式な業者区分でしたが、1947年に海運組合法が廃止され、法令上の用語としては使用されなくなりました。しかし、現在でも物流の現場で広く使われている海運貨物取扱業者を指す呼称です。

乙仲の業務範囲は業者により異なりますが、主に港湾内での貨物の積み下ろしや通関手続き、倉庫・輸送手段の手配などを行います。また、「艀（はしけ）」と呼ばれる小型の運搬船を使って、本船と岸壁の間でコンテナを運ぶ業務なども担当します。ただし、船内での荷役作業（本船作業）は含まれません。

乙仲とフォワーダー、通関業者の違い

乙仲とフォワーダー、通関業者はいずれも国際物流を支える業者ですが、それぞれの業務範囲には違いがあります。ここでは、乙仲を中心にフォワーダーや通関業者との違いについて解説します。

■乙仲・フォワーダー・通関業者の違い

業種	乙仲	フォワーダー	通関業者
対応範囲	主に海上輸送	海上、航空、複合一貫輸送	通関手続き専門
主な業務	港湾での各種申請・荷役作業・輸送・船会社への諸手配	国際海上輸送、航空輸送の手配を中心として、付随する陸上輸送・倉庫・申請サービスも対応	税関申告や関税対応

■乙仲・フォワーダー・通関業者の対応範囲の例

乙仲とフォワーダーの違い

乙仲は海上輸送に関わる港湾業務が中心ですが、フォワーダーは海上・航空・複合一貫輸送を含めた国際物流全体に関わる業務を担当します。フォワーダーは、国際輸送手段の選定や、それに付随する陸上輸送、倉庫手配、通関の代行などを一括して取り扱うことが一般的です。

近年では大手の乙仲業者を中心に航空貨物を扱うケースも増えていますが、伝統的には乙仲は港湾地区での作業や通関申告、フォワーダーは国際輸送や海外現地での対応に強みがあります。

フォワーダーについて、詳しくは下記をご確認ください。

フォワーダー（forwarder）とは？役割やメリット・乙仲との違いを解説

乙仲と通関業者の違い

通関業者は通関に関わる業務に特化しているのに対し、乙仲は通関を含めた海上輸送に関わる幅広い業務に対応しています。

通関業者は通関士が法律にもとづいて、輸出入時の税関への申告、関税の計算・納付、関連書類の作成などを代行します。一方、乙仲でも通関士が在籍していれば、通関業務の代行は可能です。

そのため、通関手続きのみを依頼したい場合は通関業者に、港湾での貨物取り扱いから通関、輸送手配まで一貫して依頼したい場合は乙仲に依頼するといいでしょう。

通関について、詳しくは下記をご確認ください。

通関とは？申告方法や書類、手続きの流れをわかりやすく解説

乙仲の主な業務内容

乙仲は海上輸送に関連するさまざまな業務を担っています。業者によって対応範囲は異なりますが、主な業務内容は下記のとおりです。

＜乙仲の主な業務内容＞

・陸送（トラック・ドレージ）

・流通加工（梱包・検品など）

・積み下ろし（バンニング・デバンニング）

・倉庫手配と一時保管

・検数・鑑定・検量

・通関手続きと書類作成

・海上輸送の手配

陸送（トラック・ドレージ）

乙仲は、港湾のオペレーションだけでなく、トラックやドレージによる陸上輸送にも対応しています。ドレージ輸送とは、コンテナを積み替えることなく、港湾と倉庫・工場間をトラックで輸送する方式です。

トラック輸送やドレージ輸送は、港湾の混雑状況や車両・ドライバーの手配、輸送距離などがスケジュールに大きく影響するため、専門的な調整が求められます。乙仲が陸送から港湾まで一貫して輸送対応すれば、貨物の引き取りのタイミングや納品スケジュールを最適化できます。

流通加工（梱包・検品など）

一部の乙仲では、梱包・検品などの流通加工にも対応しています。

梱包は、配送中の破損を防ぐために、緩衝材などを使って商品を丁寧に箱に詰める作業のことです。特に海外輸送時は、貨物の取り扱いが粗雑になることも多く、梱包は品質を保つためにも重要な作業となります。

また、検品は商品の出荷前に不良品の混入や異物、数量ミスなどがないかを確認する工程です。

積み下ろし（バンニング・デバンニング）

港湾地区で貨物をコンテナへ積み込む「バンニング」と、貨物を取り出す「デバンニング」は、乙仲の代表的な業務です。バンニングやデバンニングは貨物の破損や積み間違いを防ぐ上で欠かせない作業で、正確な判断と経験が必要になります。

デバンニング・バンニングについて、詳しくは下記をご確認ください。

デバンニング・バンニングとは？コンテナ作業の手順と注意点を解説

倉庫手配と一時保管

乙仲は港湾周辺での倉庫手配や、貨物の一時保管にも対応しています。輸出入の際は貨物を一時的に保管することが多く、倉庫選びは重要な業務の1つです。貨物の特性に応じて常温倉庫、冷蔵・冷凍倉庫、危険物倉庫などを手配します。

危険物倉庫について、詳しくは下記をご確認ください。

危険物倉庫とは？保管できるものや建設で守るべき法令を解説

検数・鑑定・検量

取り扱う貨物によっては、品質や数量を確認する「検数」「鑑定」「検量」といった業務も、乙仲で行う場合があります。それぞれの業務内容は、下記のとおりです

＜検数・鑑定・検量の業務内容＞

・検数：貨物の個数や梱包の状態を確認し、輸出入書類と現物に差異がないかをチェックする

・鑑定：貨物の内容物や外観、品名などが契約通りかをチェックする

・検量：貨物の重量や容積を計測する

検数・鑑定・検量の結果は、「受渡証明書」や「検数証明書」として発行され、荷主や輸送業者、税関との取引に対する信頼性を担保します。ただし、鋼材などの特殊貨物や少量貨物は、検数を行わないケースもあります。

通関手続きと書類作成

乙仲には通関士の資格を持つスタッフが在籍していることも多く、貨物の輸出入に必要な通関手続きや関連書類の作成・提出を行う業者もあります。輸出入には多くの法令や制度が関係しており、税関への申告や関税の計算、必要書類の確認・整理などの対応は専門知識がないと難しいのが実情です。

ただし、通関士の資格を持っていても、過去に実績がないと対応が難しい場合も少なくありません。そのため、業者を選定する際は対応実績も確認する必要があります。

通関について、詳しくは下記をご確認ください。

通関とは？申告方法や書類、手続きの流れをわかりやすく解説

海上輸送の手配

乙仲は船会社へのブッキング（予約）やスケジュール調整、運賃交渉など、海上輸送に関わるさまざまな手配・調整業務を担います。一般的には、保険の加入手続きや、輸送中の貨物追跡（トラッキング）サービス、現地代理店・海外パートナーとの連絡・納品確認などを対応します。

乙仲業者を選定する際のポイント

乙仲業者を選定する際には価格だけではなく、過去の実績・提供するサービスなどを確認することが重要です。特に下記の2つのポイントを意識するといいでしょう。

実績とネットワーク

乙仲業者を選ぶ際は、「輸出予定の貨物を取り扱った実績があるか」「船会社や現地パートナーなど海外ネットワークが豊富か」を確認しましょう。

例えば、冷凍・冷蔵品、危険物、大型設備などの特殊な貨物を扱う場合には、それに対応した設備や手順を熟知している業者でなければ、トラブルになるリスクが高まります。また、輸入国の法規制や通関制度に精通していることも、円滑な輸送のためには重要です。

さらに、長年の実績と幅広い海外ネットワークを持つ業者であれば、緊急時やイレギュラー発生時にも迅速に対応できます。業者を選定する際は、実績例や取引先事例、海外ネットワークの内容を公式サイトや問い合わせ時に確認することをおすすめします。

付帯サービスやデジタル対応

提供される付帯サービスやデジタル対応の有無も、乙仲業者を選ぶ際には重要なポイントです。例えば、港での通関だけでなく、倉庫での一時保管や流通加工が対応可能な業者であれば、荷主側の手間を大幅に削減できます。

また、貨物追跡システムやオンライン手続きなどのデジタル対応が進んでいる業者であれば、情報の透明性やスムーズなスケジュール管理も可能になります。

MGLなら乙仲業務も通関業務も可能！

乙仲は、港湾地区での貨物手続きや国際輸送の代行を専門とする海運貨物取扱業者です。ただし、業務範囲は海上輸送に付随するサービスに限定されるため、航空輸送を含めた広範囲の物流サービスを求めるならフォワーダーに委託をするといいでしょう。

三井物産グローバルロジスティクス（MGL）は、乙仲業務も含む国際物流の全般をカバーするフォワーダーとして、全世界35ヵ国150都市の拠点を中心に、当社現地店、三井物産現地店、海外代理店等のネットワークを通じて、海上輸送、航空輸送、国内外内陸輸送のいずれにも対応できます。さらに、通関手続きの代行、現地輸送までのワンストップの国際複合一貫輸送の実績も豊富です。

MGLでは、デジタルフォワーディングツールも導入しているため、書類手続きに関するさまざまなサポートや輸送状況の可視化もできます。アパレルから危険物、重量物や設備まで、さまざまな貨物に対応できるほか、保税倉庫での保管のサービスにも対応しています。

また、三井物産グループの物量をまとめて船会社から取得する「集約運賃」による強力な運賃仕入れ力、長年精通するパートナーとのネットワークを通じ、効率的輸送ルートおよび競争力ある運賃をご提供可能です。

国際物流のパートナーをお探しの場合は、三井物産グローバルロジスティクスのお問い合わせフォームよりご相談ください。

■MGLの国際複合一貫輸送をお申込み後の流れ