原産地証明書とは?発行方法やなぜ必要なのか、申請の手続きを解説

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原産地証明書とは?発行方法やなぜ必要なのか、申請の手続きを解説

近年では、自由貿易協定(FTA)や経済連携協定(EPA)の締結が広がり、特定の品目に対して関税が免除されるケースもあるため、原産地証明書への注目が高まっています。しかし、原産地証明書はいくつか種類があるため、発給元や申請の流れをきちんと理解しなければなりません。

この記事では、原産地証明書の基本的な役割や種類、申請の流れ、注意点のほか、EPAにもとづく特定原産地証明書の特徴をわかりやすく解説します。

※原産地証明書の取得にあたっては、商工会議所や行政機関などの公式情報をご確認のうえ、適切な手続きをお願いいたします。掲載内容は参考情報であり、事実と異なる場合に生じた損害については当社では責任を負いかねますのでご了承ください。

原産地証明書とは、輸出入される貨物の国籍を証明する書類

原産地証明書とは、輸出入される貨物がどの国で生産・加工などをされたかを証明する書類のことです。貨物の価格や品質を証明するものではなく、あくまで原産地に関する情報を示すものであり、貿易取引や通関、関税優遇の適用などに活用されます。

原産地証明書は、第三者機関が証明するものや、輸出者自身が証明するものなど、方式の違いによって大きく3つに分けられます。

<原産地証明制度の主な方式>

・第三者証明制度:商工会議所や政府機関など、第三者機関が原産地を証明

・認定輸出者制度:政府に認定された輸出者が自己証明

・自己申告制度:輸出者・輸入者・生産者自身が作成

なお、原産地証明書の提出が求められるタイミングはさまざまですが、代表的なケースは下記になります。

原産地証明書が求められるタイミング

必要なタイミング 理由
特恵関税制度の申請時 FTAやEPAなどの協定を利用して、関税の免除もしくは通常の関税よりも低い税率を適用するために提出が必要になる
輸入規制への対応 輸入国が特定の国からの輸入品に規制をかけている場合、要件を満たしていることを示す際に求められることがある
輸出入許可の申請時 輸入国が特定の商品について、原産国の確認を必要とする場合がある
取引先からの要請 商談や契約条件の一環として、バイヤー・取引先から提出を求められることがある

原産地証明書の種類と利用できるEPA

原産地証明書を求められたときに適切な種類の証明書を提出できないと、関税の優遇措置を受けられないため、取引の内容に応じた適切な証明書を選ぶことが重要です。証明制度の採用状況は、協定ごとに異なります。以下は、主要なEPAにおける証明制度の採用状況をまとめた一覧です。

■各EPAにおける証明制度のまとめ

協定名 第三者証明制度

(原産地証明書)

認定輸出者制度

(原産地申告)

自己申告制度

(原産品申告書)

輸出者・生産者自己申告 輸入者自己申告
日メキシコ・EPA

日スイス・EPA
日ペルー・EPA
日オーストラリア・EPA
CPTPP

※ベトナム、マレーシア、ブルネイは権限ある当局が輸出者・生産者に代わり発給

※ブルネイ、マレーシア、メキシコ、ペルー、ベトナムでは、協定のそれぞれの効力発生日の後5年以内に実施予定

日EU・EPA
日米貿易協定
日英・EPA
地域的な包括的経済連携(RCEP)協定

※豪州、ニュージーランド間のみ利用可

※日本への輸入時のみ利用可

上記以外の発効済協定※

※日・シンガポールEPA、日・マレーシアEPA、日・チリEPA、日・タイEPA、日・インドネシアEPA、日・ブルネイEPA、日ASEAN包括的経済連携(AJCEP)協定、日・フィリピンEPA、日・ベトナムEPA、日・インド包括的経済連携協定、日・モンゴルEPA

出典:日本関税協会「EPA原産地規則の概要【基本編】」、外務省「我が国の経済連携協定(EPA/FTA)等の取組

このように、EPAごとに証明制度の方式が異なるため、適用する制度を正しく把握して原産地証明書を申請・作成することが大切です。ここからは、原産地証明書の種類について、それぞれの特徴と用途を詳しく解説します。

<原産地証明書の種類>

・一般(非特恵)原産地証明書:第三者証明制度

・第一種特定原産地証明書:第三者証明制度

・第二種特定原産地証明書:認定輸出者自己証明制度

・原産品申告書:自己申告制度

一般(非特恵)原産地証明書:第三者証明制度

一般(非特恵)の原産地証明書は、輸入国の法律や契約条件などにもとづいて全国各地の商工会議所が発給する証明書です。信用状取引(L/C決済)の際や、輸入者からの依頼で必要に応じて提出が求められます。特恵関税の対象とならない場合に用いられます。

第一種特定原産地証明書:第三者証明制度

EPAにもとづいて特恵関税を受ける際に必要となるのが、第一種特定原産地証明書です。原則として日本商工会議所が発給します。ただし、日シンガポールEPAに必要な第一種特定原産地証明書に関しては、一般(非特恵)原産地証明書と同様に各地の商工会議所でも発給が可能です。

第二種特定原産地証明書:認定輸出者自己証明制度

第二種特定原産地証明書は、経済産業大臣の認定を受けた輸出者である「認定輸出者」が発行する証明書です。対象となる協定は、日・メキシコEPA、日・スイスEPA、日・ペルーEPA、RCEPの4つになります。

原産品申告書:自己申告制度

原産品申告書とは、輸出者・輸入者・生産者のいずれかが作成する証明書で、輸入者が輸入国税関に申告します。原産品申告書は日豪EPA、CPTPP、日EU・EPA、日米貿易協定、日英EPA、RCEPで採用されています。

なお、日米貿易協定においては、輸入者自己申告制度のみが採用されているので注意しましょう。

原産地証明書の作成方法と必要書類

原産地証明書は、取引の種類や協定の内容に応じて、作成方法や必要書類が異なります。ここでは、証明書の種類ごとに、申請手続きの流れと準備すべき書類について詳しく解説します。

一般(非特恵)原産地証明書

全国各地の商工会議所が発給する一般(非特恵)原産地証明書は、初回登録を含む所定の申請手順に従って取得します。必要書類や申請のタイミングには明確なルールがあるため、事前に確認しましょう。

申請手順と必要書類は下記のとおりです。

一般(非特恵)原産地証明書の申請手順と必要書類

手順 補足事項
1 初回のみ商工会議所で誓約登録 2回目の申請時以降は登録情報を活用して申請
2 必要書類を用意 <主な必要書類>

・証明依頼書:証明センター内に備え付けの書類に記入もしくはオンラインで直接記入する

・原産地証明書用紙:各商工会議所のサイトの申請フォームから原産地証明書のwordファイルをダウンロードし、英語で入力。商工会議所の窓口で販売している所定用紙に印刷する

・コマーシャル(商業)インボイス:船積事項の詳細や貨物の数量が確定した時点で作成。Proforma InvoiceやCustoms Invoiceなどは典拠書類として認められないので注意。インボイスには登録済の署名者のサインが必要

3 各商工会議所の窓口で申請 ・郵送やFAXは不可

・申請期間は原則として輸送手段の確定後から船積みまでに申請する

・船積み日から6ヵ月以内の申請は通常手続きで可能

・6ヵ月超1年以内は追加の典拠資料が必要で、1年超は申請不可

4 証明書の受領と手数料の支払い 手数料はセンター内に設置された券売機にてクーポン券を購入して支払う。原産地証明書の種類などによって手数料が変わるため、注意する

第一種特定原産地証明書

EPAにもとづく第一種特定原産地証明書は、日本商工会議所を通じて発給されます。申請には原産品判定の依頼や、関税分類番号(HSコード)の確認など、複数のステップが必要です。

手順 補足事項
1 貨物の6桁のHSコードを確認 税関等で輸入相手国の6桁のHSコードを確認する。協定により使用するHSコードが違うので注意
2 貨物のEPA税率の有無と税率の確認 各協定の譲許表などで、HSコードからEPA税率を確認する
3 EPAで規定された原産地規則等の確認 貨物の国籍を決定する際のルールとなる原産地規則を日本商工会議所「利用条件の確認」をもとに確認する
4 貨物の原産性を確認 貨物が各EPAの原産地規則を満たしている「原産性」があるかを日本商工会議所「利用条件の確認」で調べる
5 初回申請時に日本商工会議所に企業情報登録を行う 2回目以降の申請は登録情報を活用して申請できるが、登録の有効期限は書類の提出から2年間のため注意する
6 日本商工会議所に原産品判定を依頼 「原産品であることを明らかにする資料」を用意し、日本商工会議所「特定原産地証明書発給システム」から「原産品判定依頼書」を入力し、提出する。原産品であることを証明する審査が行われ、原則として日本商工会議所の3営業日で審査結果が通知される
7 特定原産地証明書の発給申請を行う 特定原産地証明書は日本商工会議所「特定原産地証明書発給システム」(URLは企業登録が完了した人にのみ開示)から申請し、原則として日本商工会議所の2営業日で審査結果が通知される
8 証明書の受領と手数料の支払い 発給手数料は原則として窓口(現金納付)か事前振込(クレジット決済・事前振込)となる

参考:日本商工会議所「特定原産地証明書取得までの流れ

第二種特定原産地証明書

第二種特定原産地証明書は、認定輸出者が協定ごとに定められた記載要件に従って英語で作成する必要があります。様式は自由ですが、記載内容に不備があると認められないため注意が必要です。

基本的には「附属書3B 必要的記載事項」の「2 原産地申告」に規定する下記の記載事項が含まれている必要があります。

第二種特定原産地証明書の主な記載事項

・輸出者の氏名又は名称及び住所

・判明している場合には、生産者の氏名又は名称及び住所

・輸入者又は荷受人の氏名又は名称及び住所

・産品の品名及び統一システム番号(六桁番号の水準)

・認定された輸出者については、輸出者又は生産者の認定番号又は識別番号

・固有の参照番号

・原産性を与えることとなる基準

・権限を与えられた署名者による証明であって、原産地申告に記載された産品が第三章(原産地規則)に定めるすべての関連する要件を満たす旨が記載されたもの

・第二・六条(関税率の差異)に規定するRCEP原産国

・原産性を与えることとなる基準として域内原産割合が用いられている場合には、FOB価額

・産品の数量

・連続する原産地申告については、最初の原産地証明の番号、発給の日付、最初の輸出締約国におけるRCEP原産国及び該当する場合には、最初の輸出締約国の認定された輸出者の認定番号

※出典:税関「附属書三B 必要的記載事項

原産品申告書

原産品申告書は、輸出者・輸入者・生産者が英語で作成する必要があります。様式に指定はないため、利用するEPA等に応じて税関「原産地基準・証明手続/様式見本」内の「利用の手引き」または「自己申告及び確認の手引き」、「様式見本」を参考にしながら作成するといいでしょう。

原産地証明書の認定基準

原産地証明書を取得するには、対象となる貨物が定められた基準に達している必要があります。貨物が日本産と認められるかどうかは、協定や証明書の種類に応じた判断基準にもとづいて評価されます。

一般(非特恵)原産地証明書で用いられる判断基準

一般(非特恵)原産地証明書では、「完全生産品」と「実質的変更基準」のいずれかに該当すれば原産地として証明されます。いずれも、貨物が日本で生産されたり、加工されたりしたことを示す必要があります。

<一般(非特恵)原産地証明書で用いられる判断基準>

・完全生産品:日本で採取・収穫されたもの

・実質的変更基準:外国産原材料を使用したが、日本国内で加工・製造されたもの。加工後のHSコード、または付加価値基準による変更を満たす場合に認定

第一種特定原産地証明書の判断基準

第一種特定原産地証明書では、EPAごとに詳細な原産地証明書の認定基準が定められています。判断基準は1つとは限らず、複数の要件を組み合わせて適用するケースもあります。

主な判断基準は下記のとおりです。

<第一種特定原産地証明書の判断基準>

・関税分類変更基準:一般原産地証明書の実質的変更基準とほぼ同じだが、HSコードが「上2桁だけ変わればいいケース」「4桁単位で変わらないとダメなケース」など、EPAごとに基準が違う

・付加価値基準(VA基準):製品の価格のうち、国内で作られた材料や製造コストが一定割合以上なら原産品として認定される。協定により40%以上・45%以上などの要件が定められる

原産地証明書の注意点

原産地証明書は、内容の不備や手続き上のミスがあると、発給が拒否されたり、通関時に無効にされたりするおそれがあります。下記のようなポイントに注意して、適切に対応しましょう。

■原産地証明書の注意点

原産地証明書は申請書類の記載内容と完全に一致していなければならない

原産地証明書の記載内容は、証明依頼書やコマーシャルインボイス、製造証明書などの情報と、完全に一致している必要があります。そのため、原産地証明書の申請時には、提出書類の住所やインボイス番号など記載情報に間違いがないか、慎重にチェックしましょう。

誤訳やスペルミスがあっても訂正できない

原産地証明書は、英語表記の軽微な誤訳やスペルミスであっても、発給後に訂正できません。記載ミスがあった場合は再申請が必要になるため、申請前に表記ミスがないか入念にチェックしましょう。

押印や署名の漏れに注意する

原産地証明書には、発給機関の署名と押印のほか、申請者側の署名が必要です。いずれかが欠けていると正式な貿易書類として受け付けられず、関税や規制の適用が遅れるため注意しましょう。

証明書の有効期限を確認する

原産地証明書は基本的に有効期限があるため、有効期限切れの書類は受理されません。そのため原産地証明書の発給から税関の申請までのスケジュールを事前に確認し、しっかりと計画をたてる必要があります。

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原産地証明書があれば関税が免除になったり、税率が低くなったりする場合があります。しかし、英語で作成しなければならなかったり、申請が複雑だったりするため、初心者にはハードルが高いこともあるでしょう。その際はフォワーダーや通関業者に原産地証明書の取得に関わる調査やアドバイザリーをお願いすることもできます。

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原産地証明書を始めとした通関に関する調査やアドバイザリーも受け付けておりますので、三井物産グローバルロジスティクスのお問い合わせフォームよりご相談ください。

よくある質問ーMGLが答えますー

Q. 原産地証明書とは?

A. 原産地証明書は、輸出入される貨物がどの国で生産・加工などをされたかを証明する書類です。貨物の価格や品質を証明するものではなく、あくまで原産地に関する情報を示すものであり、貿易取引や通関、関税優遇の適用などに活用されます。

詳しくは「原産地証明書とは、輸出入される貨物の国籍を証明する書類」をご確認ください。

Q. 原産地証明書の種類は?

A. 原産地証明書の種類は「一般(非特恵)原産地証明書」「第一種特定原産地証明書」「第二種特定原産地証明書」「原産品申告書」の4種類です。EPAごとに必要な種類が異なるため、必要な種類を事前に確認しておきましょう。

詳しくは「原産地証明書の種類と利用できるEPA」をご確認ください。

Q. 特恵関税が適用されるために必要な原産地証明書は?

A. EPAにもとづいて特恵関税を適用する際に必要となるのは、第一種特定原産地証明書です。原則として日本商工会議所が発給します。ただし、日シンガポールEPAに関しては、「一般(非特恵)原産地証明書」と同様に各地の商工会議所でも発給が可能です。

詳しくは「第一種特定原産地証明書:第三者証明制度」をご確認ください。

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