日本は台風や地震などの自然災害が多く、また、災害時の火災などのリスクを含め、都市部においても大規模災害への備えがますます重要となっています。特に近年は、首都直下地震をはじめとするリスクが指摘されており、高層ビルが立ち並ぶ汐留エリアのような都市部では、災害時の混乱を最小限に抑える「都市防災」の重要性が一層高まっています。
企業にとって防災対策は、従業員の安全確保にとどまらず、事業継続(BCP)の観点からも欠かせない取り組みです。私たち三井物産グローバルロジスティクス株式会社では、ESG経営の観点から「安全・防災」を重要なテーマの一つと位置づけ、持続可能な事業運営の実現に向けて継続的に取り組んでいます。
こうした背景のもと、当社は、例年、汐留エリア(西地区)に拠点を置く企業ともに、合同消防訓練に参加しています。災害時には企業単独での対応には限界がある中、企業間の垣根を越えた連携を強化することが、地域全体の対応力向上につながります。
本記事では、今年度の訓練内容と、そこから得られた気づき・成果についてご紹介します。
ESGにおける防災の位置づけ
企業が持続可能な成長を実現する上で、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みは不可欠です。その中でも防災は、「S(社会)」および「G(ガバナンス)」の両面に関わる重要なテーマの一つです。
「S(社会)」の観点では、企業は従業員の安全確保を基本とするとともに、地域社会の一員として、地域住民への影響にも配慮する役割を担っています。また、物流企業である当社にとっては、災害時においても物資輸送を担い、社会インフラの一端として機能し続けることが重要な使命です。
一方、「G(ガバナンス)」の観点では、災害発生時における迅速な意思決定や、事業継続計画(BCP)の実効性が問われます。防災訓練は、これらの体制が机上の計画にとどまらず、実際の現場で機能するかを検証するとともに対応の習熟を図る重要な取り組みです。
このように当社では、防災を単なる「リスク対応」ではなく、社会的役割を果たすための重要な経営基盤と位置づけ、日頃から備えの強化に取り組んでいます。
合同消防訓練の概要
今回の訓練は、本社が所在する汐留エリア(西地区)において、周辺企業と合同で実施されました。高層ビルが立ち並ぶ都市部では、災害時に帰宅困難者の発生や情報混乱が想定されるため、企業単独での対応には限界があります。
そのため、各社が同じ場で訓練に参加し、災害時の基本的な行動や対応について実践的に学ぶことを目的としました。
当日は約200名が参加し、地震および火災の発生を想定した実践的なプログラムが実施され、近隣の警察署や消防署の指導のもと、現実に即した対応力の向上を図りました。
[担架を用いない搬送訓練]![]() |
訓練の内容と当日の流れ
- 初期対応訓練: 消火器体験、AED体験、起震車による震度7の揺れ体験を通じ、災害発生直後における「初動」および「自助」の基本を再確認。
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- 避難・救助訓練: 濃煙テント体験により避難行動を確認するとともに、レスキュー部隊がはしご車を用いて実施した救出実演を見学。
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- 専門知識の習得: 放水体験、身近なものを利用した緊急時備品(巻き結び、ズボンとネクタイを使った簡易リュック)の作り方講習。
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特に、レスキュー部隊による救出実演では、迅速かつ正確な対応が求められる現場の緊張感を肌で感じることができ、防災に対する意識が一層高まる機会となりました。
得られた気づき・成果
今回の訓練を通じて、災害対応においては「共助」だけでなく「自助」の重要性が改めて認識されました。警察や消防といった公的機関は、限られた人数で広範囲を管轄しており、大規模災害時にはすべての対応を即座に行うことが難しいのが現実です。例えば、今回参加いただいた愛宕警察署では約300名の職員で広いエリアを担当しており、初動対応においては各個人・各企業の行動が大きな役割を果たします。
そのため、まずは自分自身の身を守る行動を取ること、そして職場や家庭においても日頃から備えを行うことの重要性を改めて認識しました。
また、合同訓練を通じて、企業間での連携の必要性や、実際の災害時に想定される課題についても具体的に把握することができました。これは、自社単独の訓練では得られない大きな成果の一つです。
今後に向けた取り組み
今回の訓練で得られた知見を活かし、当社では以下の取り組みを進めていきます。
- 防災教育の強化および社内への展開
- マニュアルやBCPの見直し・高度化
- 定期的な訓練の継続実施
防災は一度の取り組みで完結するものではなく、継続的に改善していくことが重要です。
今後も、社員一人ひとりの意識向上を図るとともに、地域における関係機関・企業との連携をさらに深めながら、実効性のある防災体制の構築に取り組んでまいります。
まとめ:防災は日常の延長にある
防災は特別な取り組みではなく、日常の延長にあるものです。今回の訓練を通じて、備えの重要性、防災への継続的な取り組み、訓練は「点」ではなく「線」として積み重ねていくことが重要であると改めて認識しました。物流企業として、私たちはこれからも「安心を届ける」という使命を胸に、安全で持続可能な事業運営に努めてまいります。
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